とおいぃ夏
古寺のアカガシの樹勢回復の仕事が始まった。 キノコとコケとノキシノブで樹幹はほとんどボロボロになっている。 二十年前に境内をダスト舗装してから一気に樹勢が落ちた。 そのダストを剥がして黒土と竹炭で土壌改良する。 スコップが効かないほど転圧された表土。 半裸でツルハシを振う。
日蔭にはアジサイが満開だ。 なんという色だろう。 遠い記憶がする。 とおいぃ記憶。 通う山道には卯の花、ウツギ。 白い花弁が零れ落ちている。 したしたと惜しげもなく色を落として、 そこは次元が違う。 誰もいないのに、 夏が来ている。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14