後ろの扉
やるべきことが山積している。 だが、取り敢えずは薪ストーブの焚き付けの柴折り、古竹割り。 ぜんぶ仕事先の発生材。 捨てればゴミだが、燃やせば暖になるし、灰炭は肥料になる。 モズがどこかで鳴いている。 猫と犬はそれぞれの日溜まりで午睡している。
一日そんなことをしていると焦ってくる。 こんな悠長でいいのだろうか。 だが、身の回りを整序すること。 まずは半径数メートルに手を入れること。 それを疎かにして立てた世界はどこか嘘くさい。
京都嵯峨野で向井去来の草庵「落柿舎」を訪ねた。 手足を伸ばせば届きそうな小部屋が三つか四つほど。 なるほどここでなら乾坤宇宙に対峙しやすい。 息を整えるほどの暮らし。 問題は後ろ側のドアである。 それは部屋の隅々に手を入れていないと気付きにくい。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14