美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■後ろの扉

やるべきことが山積している。
だが、取り敢えずは薪ストーブの焚き付けの柴折り、古竹割り。
ぜんぶ仕事先の発生材。
捨てればゴミだが、燃やせば暖になるし、灰炭は肥料になる。
モズがどこかで鳴いている。
猫と犬はそれぞれの日溜まりで午睡している。

一日そんなことをしていると焦ってくる。
こんな悠長でいいのだろうか。
だが、身の回りを整序すること。
まずは半径数メートルに手を入れること。
それを疎かにして立てた世界はどこか嘘くさい。

京都嵯峨野で向井去来の草庵「落柿舎」を訪ねた。
手足を伸ばせば届きそうな小部屋が三つか四つほど。
なるほどここでなら乾坤宇宙に対峙しやすい。
息を整えるほどの暮らし。
問題は後ろ側のドアである。
それは部屋の隅々に手を入れていないと気付きにくい。

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14