美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■ ありがたし

 三日間、20m強の高木の枝下ろし仕事をしていた。
 イレギュラーながら、二連ばしごを木の股に架けてよじ登った。
 無事に終わって地上に降りた時は、歴史にも地理にも地球にも宇宙にも感謝したい気持ちだった。
 シュレーディンガーの猫という量子論の思考実験があるが、すべて終わるまで自分は、墜落死、脊椎損傷、頭蓋骨折、不具、裂傷、また、下の家の破壊、電線切断、賠償、等々のパラレルワールドを右往左往していた。
 なんとか無事に波動関数が収縮して、以前までの自分を接続している。
 昨日と今日が、朝と夕方が、つつがなく繋がることの有り難さ。
 ありがたし。
 依頼主の婆さんが、「おかげで久しぶりに朝陽を拝めるようになりました」、
 と喜んでくれた。
 南面の高台に突っ立っていたので太陽を隠していたのだ。
 サクラとコナラ。
 下ろした枝は良質の薪になるし、キノコの種木にもなる。
 これもありがたし。


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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14