ありがたし
三日間、20m強の高木の枝下ろし仕事をしていた。 イレギュラーながら、二連ばしごを木の股に架けてよじ登った。 無事に終わって地上に降りた時は、歴史にも地理にも地球にも宇宙にも感謝したい気持ちだった。 シュレーディンガーの猫という量子論の思考実験があるが、すべて終わるまで自分は、墜落死、脊椎損傷、頭蓋骨折、不具、裂傷、また、下の家の破壊、電線切断、賠償、等々のパラレルワールドを右往左往していた。 なんとか無事に波動関数が収縮して、以前までの自分を接続している。 昨日と今日が、朝と夕方が、つつがなく繋がることの有り難さ。 ありがたし。 依頼主の婆さんが、「おかげで久しぶりに朝陽を拝めるようになりました」、 と喜んでくれた。 南面の高台に突っ立っていたので太陽を隠していたのだ。 サクラとコナラ。 下ろした枝は良質の薪になるし、キノコの種木にもなる。 これもありがたし。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14