誰何
寒くなった。 それでも雑木山をさまようと、日だまりに落葉が暖かい。 地べたに寝転んでも清浄な感じなのは、 微生物が死に絶えたからだろうか。 聳えるコナラを根元から見上げると、 空への長い階梯。 土と風と光と水の、 関わった時の流れ。
(流れ?)
寒くなった。 裸の幹枝が、 冬の空を線描し、 地べたのこちらを俯瞰する。
(俯瞰?)
わたしは枯葉に寝そべり、 茫然と誰何(すいか)する。 あなたは誰なのか。 これらの流れを決めた、 あなたは誰なのか。 この方向は、何なのか。
(次元が足りない)
それでも雑木山をさまようと、 そちこちに新しい階層があり、 遠い、記憶のような欠落があり、 報われなかった思いがある。
寒くなった。 身一点、世界を招集すれば、 逆光の梢は没陽に言葉し、 開始する、 見たこともない、 誰かの距離なのであった。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14