美しい空間と時間 庭園管理植吉
ライン
植木屋雑記帳

 

■鈴空

三日冷たい雨が降り注いだ。
数日前の強い陽射しが嘘のようだ。
夜は息が白くなることもあった。

雨の音を聞きながら、炬燵で『築山庭造伝』を読んだ。
江戸時代の庭造りの指南書だ。

 「諸木の毛虫つかざる法は鯣(するめ)のかしらにあるひらひらを筆の鞘(さや)に入れて、其の木にいくつもつりさげをくべし、毛虫つかず」

 などという眉唾な記述があるかと思えば、

  「刈込物は始めに根本の吹芽を能く切り払いそれより中の枯枝古葉或は虫の巣などをよくよく取払ひて中を健やかにいたし置きて後に外回りを刈込むべし、根本 の吹芽をとりてその中の取払ひもせずして上辺ばかり刈込むを下々の下仕事と知べし、刈込み物は高木低木丸物角物すべて同じ、よくよく仕事には手をつくすべ し、」

 等、現在でも心得べき記述も多い。

 今朝は鈴が鳴るような空。
 井戸で顔を洗い、側に小さく実ったトマトを囓った。
 今日は自庭の手入れでもして、畑に白菜苗を定植しよう。

 

 

line
 →植木屋雑記帳一覧 →このページのトップへ →次の項目を読む

庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14