美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■坪庭

 坪庭の改修仕事。

 この坪庭は、ガラス張りの風呂から楽しむようになっており、目隠しのため高さ3mの両面建仁寺垣で囲われている。
 昨日はその下50cmほどの立子を間引いて切り取った。

 庭には微小気候というのが必要なのだが、この坪庭は家側のガラスがはめ込み式で開閉出来ず、風通しが悪くてカビくさい。
 庭木も枯れかかっていた。

 囲った竹垣は大工さんが作ったもので、柱は四角で胴縁の裏に貫が入っており、立子の一枚一枚が隙間なく釘打ちしてあった。
そのため胴縁の結束し直しの「くり針」が入らず、大いに苦労した。大工さんはドリルで結束穴をあけ、針金で棕櫚縄を通していたようだ。

植木屋との発想の違いが面白かった。
大工さんは模様のある「壁」を作ったのだろうが、われわれは「すきま」を見る。すきまを作りすきまを見せる。

 「坪庭の宇宙」、という言葉があるが、囲われた空間は、閉塞を意味するのではなく、整えられた「外側」を意味する。内省された外側と言ってもよい。
そしてたぶんそれは「美」の問題なのだ。

 

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14