向こうの山から
向こうの山からここまでが私の身体だから、 所々の紅葉黄葉はおまえの踊りだろう。 渓で魚たちは虹色のまま卵を抱いている。 この夏に死んだものもいて、屍体は鳥たちが啄んだ。 空は高い。 畑たちは寂しい光を浴びている。 大根も白菜も無音を吸って大きくなる。 あの山に登れば海までが私の身体だろう。 樹冠から半身を出せば、この黒松も私の身体だ。
庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14