美しい空間と時間 庭園管理植吉
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植木屋雑記帳

 

■  ヤマボウシとシャクナゲ 

わたしの家には眠るひとがいるよ。
猫と一緒にいつまでもいつまでも眠っているよ。
わたしはひとりで身支度し、外へ出て行く。
わたしの仕事は土を掘り、木を植えること。
スコップひとつでどんな穴でも掘るよ。
穴を掘ることは好きです。
土にまみれることは好きです。
土は星と時間のかけらです。
わたしは星と時間にまみれます。

きょうは海辺のまちに行ったよ。
家がみんな壊れていたよ。
わたしの作った庭も壊れていた。
海がふくらんでみんな流された。
木も石も流された。
残った土留め石を何個かひろってきたよ。
山の中に何億年も眠っていた石。
ここまで運んでここで海をみました。

家に帰ると猫だけがいたよ。
眠るひとはいなかった。
わたしは植木畑の手入れをしたよ。
雨ごとに伸びた枝葉でもう緑の回廊です。
葉陰の暮れ空の向こうに月が霞んでいた。
ヤマボウシが薄みどりの花をつけていたよ。
シャクナゲが緋色の花を揺らしていました。

 

 

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庭園管理 植吉 代表者 鎌田吉一 福島県いわき市田人町黒田字唐沢14